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相続税の税務調査とは? ~名義預金を中心として~
- 2013年08月30日
- こんにちは東京都文京区会計事務所、税理士の伊藤俊一でございます。
秋は税務調査シーズンの到来です。法人ではすでにご連絡が言っている会社様も多いことでしょう。
さて、ここでは通常の法人調査ではなく、相続税の調査についてお話したいと思います。なかなか税理士でも経験しているものが少ないところだと思います。
「4件に1件」訪れる税務署からのお尋ね・相続税の税務調査(実際の感触としてはもっと多いです)。申告後も迂闊に気が抜けません。
調査の時期は申告書を提出してから最初の8月~12月が一番確率的に高く、次に2年目の8月~12月、3年目の8月~12月に来なければひとまず税務調査は乗り切った
ものとされています。あくまで一般論ですが...
ところが、平成23年12月に行われた税制改正によって、増額更正できる期限が5年に延長されたため、これからは5年間は気が抜けないことになりそうです。
調査の手順としては、最初に税務署から納税者及び税理士に電話がきます。このときに、当日必要な書類について事前に確認しておくと良いでしょう。ちなみに強引な調査官だと現場でどんどん追加の資料を要求されます。最初の電話と話が違うと怒って構いませんよ。
税務調査の当日は朝10時から調査が始まり午後5時位までかかりますが、午前中に終了ということもあります。内容は、2名の税務署職員が相続人の家に訪れ、午前中は聞き取り調査、午後は通帳・権利書等重要書類の確認を行います。
午前中の聞き取り調査では、まず、被相続人の仕事、趣味、性格、入院歴、病気の状況、亡くなる前の意思があったかどうか。
そして、財産(主に預貯金)の管理者は誰だったのか。医療費はどこから出していたか。生活費はどのように捻出していたか。などの質問により「亡くなった方の財産が生前の収入に対して適正な額か」「贈与税の申告もなく家族の名義になった財産はないか」が確認されます。
そのためにも「適正額」である旨の簡易キャッシュフロー等があれば完璧です(当職では作成してお渡しします)。
午後の現地調査では、被相続人が生前に預金通帳、権利書等を保管していた場所の確認、被相続人からの贈与についての確認、贈与後の通帳・証書の保管者、手持ち現金の状況の確認、家に保管してある全ての印鑑の確認、預金通帳についての確認(後述)、土地の測量図が家に残っていないかの確認(現地を見に行くこともあります。)と、いったことが行われます。
相続税の税務調査で一番問題になるのは現金預金の取引内容です。特に名義預金の関係は詳しく調べられます。
税理士も申告書作成時には被相続人の過去何年間かの預貯金の流れを確認するものです(当職は最低5年、銀行記録が残っているもの、多額のものについては過去10年まで遡及します)。
特に大きい出金に関してはどこへいったものなのか、亡くなった日現在でほかの家族の名義になっていないか等を精査します。同じく、税務署の担当官は関係のありそうな全ての金融機関に相続が発生した日現在の被相続人、相続人、家族の預貯金の残高と過去何年間かの預貯金の取引明細を問い合わせ、預貯金の流れを把握します。
税務調査を終えて後日、問題箇所が見つかった場合には税務署・納税者・税理士との間で問題点の調整後、税金を納めることになれば修正申告を行うことになります。
その際、延滞税や過少申告加算税、あるいは重加算税がかかります。逆に、税金が戻る部分があれば更正の請求・嘆願書を提出することになります。
税務調査の結果特に問題がない場合には、税務署から納税者または調査に立ち会った税理士に対し、調査終了の通知が届き、無事完了となります。
改めて、税務調査は現預金の流れが最重要ポイントです。被相続人の生前の入出金についてしっかり把握し、贈与の申告等の漏れがないか再度確認してみましょう。
当職は上述のとおり「名義預金」の管理把握に非常にたけた税理士です。事前対策もご教示できます。お気軽にお申し付けください。
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