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財産評価基本通達に従って評価した場合の納税者側の主張及び課税庁側の対応(2)
- 2017年07月26日
- 従って,これを税務否認する上ではそれなりの論拠が必要になることは当然である。裁判例ではそれを水平的公平か垂直的公平かの議論で決着させようとしている節もある。水平的公平とは,同様の状況にある者は,同様に課税されなければならないという原則であり,垂直的公平とは異なった状況にある者は,異なって課税されなければならないということであり,一般的には累進課税を意味する。そして当該財産評価基本通達に係る論点は水平的公平性の意義についての問題になるため,議論をそちらに収斂させる。
問題は何をもって何が同様の状況にあり,何が異なった状況であるとするのかという判断の基準を何に求めるかという点にある。ここでの水平的公平性の意義について先述の東京高裁平成7年12月13日判決(行集46巻12号1143頁,ニチアス株式負担付贈与事件)が参照になると思われる。この裁判例は通達どおりの取引を行ったとしても本判決のように初めから納税者が贈与税の負担を回避するために,計画的に取引を行ったものであるとの事実認定がされた結果,財産評価基本通達が定める評価方法に従わないことが許容された事件である。