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受益者と受益権の範囲(1)

2017年06月05日
租税法上の受益者,受益権,複層化の定義を明確化することを目的とする。後述するように,そこで税務上の信託受益権の複層化の本質は擬制説をとるべきであることを検証する。そして,現行法の財産評価基本通達202項は過去の反省を取り入れたという点で以前の基本通達の改正は一定の評価が可能であるということ,つまり信託評価額差損益が生じないという点においては,納税者側の恣意性の介入を遮断する方向で成功していたということを示す。さらに,あくまで補論としてだが,アメリカ法とイギリス法は信託法全般については,参照すべき点は多々あるものの,こと信託受益権の評価という点になると,わが国と課税体系が大きく相違することもあり,参照にならないということを述べる。
はじめに,租税法上の信託受益権の法的性格を検討する大前提として,受益者,受益権について過去の裁判例等から,検討の射程を明確にする必要がある。
信託法では受益者は「この法律において「受益者」とは,受益権を有する者をいう。」(信託法2条6項)としている。「委託者が信託の利益を与えようと意図した人たち,または,彼らの権利を承継した人たち」と四宮和夫教授は定義している 。
では,受益者の租税法上の範囲であるが,佐藤英明教授は「「受益者」とは,信託法からの借用概念であり,信託法における「受益者」と同じ意義を有するのが自然であろう。この点につき,信託法においては,「『受益者』とは,受益権を有する者をいう(信託法2条6項)とされている」と指摘されている 。

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