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受益者と受益権の範囲(3)

2017年06月08日
収益受益権と元本受益権の区分についてはどうだろうか。受益者は受領の対象となる信託利益の差異に着目した「元本受益者」と「収益受益者」に区分されるものだが,わが国では信託法と信託税制との間で定義規定に若干の相違があるように見受けられる。
米等では,元本と収益に関して明文による細かな定義が置かれ,両類型は実益のある重要な区分基準となっているが,わが国の信託法上ではでは明文上の規定はなく,その内容も,現状では,幾分曖昧なものといえる 。信託法上では収益受益権と元本受益権を明確に定義づける必要性が乏しいからである。それが収益受益権なのか元本受益権なのかは当該信託契約によって個々に決定されうるべきものであり,それが問題になるのはその定義づけの不備というよりも信託契約そのものに不備があるからだと考えるからである。
一方,相続税法上では,収益受益権とは,信託に関する権利のうち信託財産の管理及び運用によって生ずる利益を受ける権利をいい,元本受益権とは,信託に関する権利のうち信託財産自体を受ける権利をいう。収益受益権を有する者が収益受益者であり,元本受益権を有する者が元本受益者である。
収益受益権の租税法上の性格について,参考とすべきは東京地判平成20年10月24日判決(金判1307号55頁)である。ここで重要なのは国が収益受益権と所有権とを区分して判示していることである。
判示では「配当を受けるという収益受益権」としか明示されていないが,所有権という元本から生じる果実がここに内包されると考えられる。租税法の判例で当該文言が出てきたことから,収益受益権は本稿では上記の定義で問題ないと思われる。

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